プログラム

「マブイ特別賞」上映

写真撮影:仲里効

『夢幻琉球・つるヘンリー』
監督:髙嶺剛
1998/85分/日本/沖縄語・日本語・英語・台湾語/FHD
放浪の民謡歌手つるが拾ったのは、撮られることのなかった映画『ラブ―の恋』のシナリオ。その映画とは「沖縄の過ぎ去りし日を懐かしみながら未来を言い当てるSF映画」だった。そこで、つるは得意の島唄・サンシンを、息子ヘンリーは空手を活かし、ひそかに映画化をたくらむのだが、いつしかフィクションが現実に、現実がフィクションに、現在が過去に、過去が現在にと、マチブッていくのだった。沖縄の織りなすファンタズムを巡る物語と音楽と言葉が三次元コラージュされていく、マチブイ・ローリングストーンたちの移動と越境のファンタジーポップス。ロッテルダム国際映画祭などに出品。

<監督プロフィール>
髙嶺剛
1948年沖縄の石垣島川平生まれ。高校卒業まで那覇で過ごしたあと、国費留学生として京都教育大学特修美術科に入学。その頃から8ミリ映画を撮り始める。ジョナス・メカスに私淑し、日本復帰前後の沖縄の風景を凝視した初長編監督作品『オキナワン・ドリーム・ショー』(1974)を制作する。1985年初の長編劇映画『パラダイスビュー』完成。ベルリン国際映画祭ヤングフォーラム部門をはじめ、10数ヵ国の映画祭に出品。『ウンタマギルー』(1989)でベルリン国際映画祭カリガリ賞、ナント三大陸映画祭グランプリ、ハワイ国際映画祭グランプリ、日本映画監督新人賞など国内外の映画祭で多数上映、受賞し、全編沖縄語で展開される新しい表現を生みだした作家として世界的に注目される。1998年には沖縄を代表する民謡歌手の大城美佐子を主演に迎え、『夢幻琉球・つるヘンリー』を市民プロデューサーシステムでデジタル撮影をいち早く取り入れて製作。2016年の『変魚路』は、18年振りの劇映画作品となる。