受賞結果速報
映画『緑の模倣者』が最高賞!
金馬賞受賞の注目作『アバンとアディ』が最多3冠!
<11/29 映画祭授賞式レポート>

2023.12.1

第1回Cinema at Sea-沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバルのクロージングセレモニーが11月29日、沖縄・タイムスホールで行われ、コンペティション部門作品、インダストリー部門ピッチイベントの受賞結果が発表された。
審査員長のアミール・ナデリ監督、審査員の女優・伊藤歩、映画プロデューサーの仙頭武則、ウーディネ・ファーイースト映画祭のディレクター、サブリナ・バラチェッティ、ハワイ国際映画祭のエグゼクティブ・ディレクター、ベッキー・ストチェッティが登壇し、受賞のプレゼンターを務めた。

【各部門の受賞結果】

★インダストリー部門Doc Edge賞(Doc Edge Award)
受賞企画:「Magnetic Letters」
受賞者:デミ―・ダンフグラ監督


★インダストリー部門 最優秀企画賞(Best Pitch Award)
受賞企画:沼影市民プール/「Numakage Public Swimming Pool」
  受賞者:太田信吾監督、竹中香子プロデューサー


★コンペティション部門 観客賞(Audience Award)
受賞作品:『アバンとアディ』
受賞者:ジン・オング監督


★コンペティション部門 主演俳優賞(Best Leading Performance Award)
受賞作品:『アバンとアディ』
受賞者:ウー・ガンレン


★コンペティション部門 審査員賞(Jury award)
※審査会議での白熱のディスカッションの結果、審査員賞は2作品に贈賞。
受賞作品:『アバンとアディ』Abang Adik
受賞者:ジン・オング監督

受賞作品:『クジラと英雄』One with the Whole
受賞者:ジム・ウィケンズ監督、ピート・チェルコウスキー監督


★コンペティション部門 最優秀映画賞(Best Film Award)
受賞作品:『緑の模倣者』The Mimicry
受賞者:ジョン・ユーリン監督




アミール・ナデリはコンペティション部門作品の総評で、「たくさんの映画、人に出会って親しい関係になれた。喧嘩もしながら心からの言葉を尽くしてこの受賞作品を選んだ」と審査過程を振り返る。
観客賞のプレゼンターを務めた審査員の伊藤歩は、「観客の素直な思いを伝えることが楽しみです」とコメントし、受賞者の『アバンとアディ』のジン・オング監督と檀上で喜びを分かち合った。
ジン・オング監督は「すごく嬉しく思う。日本プレミアがこれから始まるので期待しています。作品を通してたくさんの観客と出会えた。涙を流しながら見てくださった皆さんに感謝です」と観客にメッセージを送った。

審査員の仙頭武則は映画祭について「志の高い映画祭が開催された事が嬉しく、末長く続く事を願っている。まともな映画祭がここにあると世界中に知らせてください」と語り、主演俳優賞は『アバンとアディ』のウー・ガンレンの受賞を発表。ジン・オング監督はウー・ガンレンについて「受賞は役者にとって励みになる。この感動を共に分かち合いたいと思う」とコメントした。
審査員のベッキー・ストチェッティは「ここ沖縄でたくさんの素晴らしい作品に出会えたことに感謝しています。意見の分かれた会議となったが心を尽くして話し合い、素晴らしい作品二つを選んだ」と白熱した審査会議の様子を明かし、『アバンとアディ』と『クジラと英雄』の受賞を発表。
ジン・オング監督は「3回連続登壇とは夢にも思いませんでした。映画に関わったすべてのクルーにとってサプライズです。最後に伝えたいのは、cinema at seaに招いていただいたことへの感謝です。情熱をすごく感じました。2回目以降も応援しています」と映画祭への感謝を述べた。


『クジラと英雄』のジム・ウィケンズ監督からは受賞コメントムービーが届き「映画を撮らせていただいたアラスカの先住民の方々に感謝します。彼らのおかげで撮影できて、作品を世界に届けることができた」と感謝を述べた。
アミール・ナデリは「すべての作品が素晴らしい。その中で1番を選びました」と話し、受賞作品『緑の模倣者』について、「シンプルで複雑で深い、イマジネーションを掻き立てる、カメラワークの正しい作品」と評価。
『緑の模倣者』のジョン・ユーリン監督は「この作品に注目し、すくい上げてくれた事に感謝します。沖縄に来て、この作品で伝えたいことと沖縄は相通じると感じた。1番伝えたいのは違う民族が共生共存する際、それぞれが違う眼差しを持っているがそれを受け入れることが大切ということ。人と人のみならず物、生物でもそれは言える。沖縄に多くの人々が集まった事自体が感動的なことだし、Cinema at Seaは努力の成果があって開催できたのだと思う。大切なのはお互いを知る事であり、手を携えて前に進む事です。この交流の場に感謝します。作品に携わるクルー関係者、ワイフ、2匹の犬にも感謝です」とユーモアを交えて最高賞獲得の喜びを表した。

映画祭エグゼクティブディレクターの黄インイクは、「スタッフ、100人のボランティアの皆さんが頑張ってくれて、赤ちゃんの映画祭が生まれた。続けていきたいと思う」と来年の開催に向けた抱負を語った。
アミール・ナデリに呼ばれ急遽登壇したフェスティバルアンバサダーの尚玄は、「胸がいっぱいでとにかく感動。沖縄で映画祭をやるという夢が叶った」と涙を流した。 受賞者、ノミネート作品の監督・出演者らが舞台に勢ぞろいし記念撮影を行い、エモーショナルな雰囲気のなかで映画祭は閉幕を迎えた。